
お忙しい状況は継続中ですが、天気の芳しくない週末の時間の隙間を縫ってブログアップすることとします。
1980年代のカーオーディオを代表するブランドを一つ挙げるとしたら、やはり”Lonesome Car-boy”や”carrozzeria”を掲げたパイオニアだと思うのですが、今回取り上げるアルパインも、ワンボディコンポの始祖”7155J”を1983年に登場させたことを契機として人気が急上昇しています。
1980年代中頃に”CAR and
DRIVER”を読み始めた当方、その頃同誌ではホンダ車やドイツ車に人気が集まっていましたが、それら1DINサイズのインパネやコンソールに収まるコンポといえばアルパインの印象が強かったですね。
パイオニアがカーオーディオのトヨタや日産的だとするならば、アルパインはホンダ的といった感じでしょうか。
前段はこのくらいで1985年6月のカタログを抜粋して取り上げていきます。
最初は、当時のフルラインナップが紹介されています。
詳細は後述しますが、”HEAD UNIT”と称された1DINシリーズ、”ニュー180パフォーマンス”シリーズ、160、の以上3シリーズで構成されています。
アルパインの機種名は、基本的に4桁の数字で表現されるのですが、機種名だけだと今一つ判り辛かったように思います。
この時代のアルパインを代表するのは”HEAD UNIT”シリーズと言えましょう。
派手なイルミのメタリックボディを積み重ねるカーコンポ全盛期に、チューナー・デッキ・アンプを1DINサイズのブラックボディにまとめた”7155J”は、明らかに異質な存在として登場しましたが、やがて迎えるワンボディコンポの全盛期を切り開くこととなります。
”7155J”の特徴だったブラックボディにグリーンイルミの選局ボタンは、アルパインのデザインを象徴するものとして、この後もしばらくの間続けられることとなります。
そんな名機も末期を迎えて、機能充実の上級機”7273J”と廉価版”7243J”が後継機に据えられています。
この頃増えだした、横幅180mmのDINサイズに対応させたシリーズです。
アルパイン版Lonesome Car-Boyといった風情ですね。
パイオニアは180mmサイズの他に、日産車向けを主とした150mmサイズも並行して販売していましたが、こちらは120mmサイズのチューナーを作ることでサイズを調整しています。
このシリーズは、人気を集めた”HEAD UNIT”シリーズの陰に隠れてしまい、残念ながら短期間で終了となってしまいました。
一世代前となる160シリーズですが、バリエーション多さもあって、シリーズの一角を担っていました。
この頃流行したパーソナル無線も、180mmと160mmの両方がリリースされています。
アルパインのスピーカーシリーズを通しで紹介
パイオニアやケンウッドとは違って、アルパインのスピーカーといえばコレ、というような印象に強く残る機種は殆どなかったように思います。
このあたりは、後で登場するマルチチャンネルの印象が強かったせいもあるのですが。
埋め込み型の角型グリルデザインは、当時のLonesome Car-Boyにも似たデザインが存在しますね。
当時のアルパインのもう一つの象徴といえば、このマルチチャンネルシステム。
チャンネルデバイダーを介して、ウーファー・スコーカー・ツィーターを駆動するシステムは、カーコンポに新しい風を吹き込むこととなります。
純正がマルチチャンネルを本格的に展開したのは、1989年に登場したのセリカ・カリーナED・コロナExivの3兄弟からですから、はるかに先進的な提案だったのです。
そんな提案も、アンプ込の本格的な構成にするとかなり高価になることもあって、市場が本当に理解をしていたのかは若干怪しかったりですが。
6ページに渡って、トヨタ車への装着事例を紹介しています。
”HEAD UNIT”と180シリーズを装着した時の雰囲気の違いは一目瞭然だと思います。
”HEAD UNIT”は、まるで純正のようにインパネに溶け込みつつも、存在を静かに主張するのです。
続いては4ページを使って日産車への装着事例を紹介
以下、ホンダ・マツダ・三菱・ダイハツの順で紹介されています。
冒頭で書いた通り、やはりワンダーシビックや2代目プレリュード等、当時のホンダ車とのマッチングが印象に残っています。アルパインは純正でも採用されていましたしね。
輸入車への装着事例も多かったはずなのに、カタログに掲載が無いのは意外です。
ということで、いかがだったでしょうか。
2DINサイズのカーナビも同様なのですが、いかにも後付というデザインを好まない層というのは確実に存在するのです。(私もその一人)
”HEAD UNIT”はそういう層に好評を持って迎えられました。7155Jは、当時の技術の限界もあって僅か6W×2の出力でしたが、その後を継ぐワンボディ達は、急速に高性能化していき、1990年代初頭に全盛期を迎えることとなります。
この頃のアルパインの特徴をもう一つ挙げるなら、価格統制が徹底していたことが挙げられます。他社では10~20%程度の値引き販売が常識でしたが、当時のアルパインだけは確実に定価販売でした。
どうやら取引中止をチラつかせつつの統制だったようで、後年この慣習は公正取引委員会から勧告の対象となってしまうのですが、そんな販売方法でも人気は持続していたのですから、当時の人気ぶりが判るというものです。
現在は、人気が再燃とまではなっていないようですが、当時の人気車が再び脚光を浴び始めつつある中では、このメーカーの当時モノもやがて注目される気がしてなりません。